「心」で生きることの深淵さを抱きしめて生きる
時代が便利になり、自らの幸福のために生きることが当たり前とされる時代になりました。しかし、平和な時代に生きている私でも、この世の深淵さを垣間見て戦慄することがあります。この世が、実は途轍もなく深淵で偉大であることに気付かされるのです。
人体は、40兆個程の細胞で形成されています。一つの細胞の大きさは、直径0.02mmですが、この細胞の一つ一つには、60億個ものDNAが規則正しく並んで存在しています。細胞が分裂する時、これらの60億個のDNAも複製されるのですが、このときにどうしても数万個のエラーが発生します。しかし、細胞は、60億個のDNAを点検してエラーの部分を発見し修復するという仕組みを有しています。この仕組みによって、60億個のDNAを複製しても、5〜10個程度しかエラーが起こらないということが実現できるのです。実に99.9999999%もの精度を誇ります。
しかし、99.9999999%の精度で複製しても、確実に細胞のDNAにはエラーが蓄積していきます。そして、そのエラーがある細胞の増殖をコントロールする機能に障害をもたらした時、その細胞は「癌細胞」と呼ばれるようになります。
私たちの生存は、天文学的な物質の共同作業に支えられています。
38億年前に地球上に初めて誕生した生命(LUCA)は、一度も絶やすことなく命を繋いでいます。地球上のすべての生命の原始祖先が、LUCAであるということは、LUCA誕生以降、地球上で無生物から生物が誕生したことは二度と無かったことを示しています。
生命は、自らの外の環境に調和し、生き続けなければなりません。生命が、外の環境の変化に対応して、体内の化学反応をどのように変化させているのか?を現代の科学は、数式として表現するようになりました(Markov Branket)。すると、驚くことにこの数式は、脳に流れる電流を表現した数式と同じものであることが分かったのです。さらに、この数式は自動で情報処理を行なうAIの数式でもあることが分かったのです。
自由エネルギー原理と呼ばれる、この不可思議な理論は、「心で生きる生物」の核心を明らかにする史上初の「脳と心の統一理論」として注目を集めています。自由エネルギー原理は、脳がどのように情報処理を行い、我々の言動や心の動きが生じているのかを説明することができる原理です。我々は、これまでと決定的に違う地平に立ちつつあります。
人間は、不思議な生物です。たった一人の愛が、全世界の人々の心を撃ち歴史を創るということが実際に起こるものです。心とは、物質と繋がっていながら物質を超えた次元に存在し、宇宙の本質に通じています。私たちは、誰もが愛を受けた経験を持っています。愛情を受けなければ、人間は生きることができないからです。
心で生きる生物、人間の深淵さを思うと、生きることへの認識が深まってきます。世界観が変わると価値観の変容に迫られることになります。
「心」で生きることの深淵さを抱きしめて生きる時、私たちは、自らが宇宙の偉大さの発露であることを改めて認識することになります。
弊社、Lyapunovは「脳と心の統一的なメカニズム」が明らかになりつつある今、人類が宇宙的な実存を担って生きることを支えるための社会変革を進めて参ります。
一人一人の心を育てる教育とは、「ヒトが心で生きる人間になる」という宇宙の最も神秘的な出来事を支える事業です。一人一人の心に寄り添い、愛情に基づく教育に貢献することにこそ、弊社の進むべき道があると信じております。
令和6年7月 Lyapunov代表取締役 冨永晃輝
NPO法人ヒトの教育の会理事。
株式会社Lyapunov代表。
医師、都立病院勤務。
京都大学工学部大学院後期博士課程在学。
最新脳科学自由エネルギー原理を活用した「心の成長アセスメント」を開発。
1995年生まれ。佐賀県鳥栖市出身。
九州大学医学部医学科卒業。